膝枕

「ひなちゃん、ここに正座してみて。」
大地はそう言って、自分の座っているソファーを軽く叩く。
ソファーの側に立っていたかなでは、彼の言う通りソファーに正座をした。
と、自分の膝に感じる重み。
かなでが自分の膝を見ると、そこには頭を乗せて幸せそうな顔をしている大地が居た。
「だ、大地先輩?何をしているんですか!?」
突然の事に戸惑うかなでの声は上擦っている。
「何って、見て分からないかい?膝枕、だよ。」
『ん、ひなちゃんの膝は柔らかいね』と極上の笑みを浮かべる大地。
「大地先輩、その、恥ずかしいです。」
『だから、早く退いて下さい』とかなでは膝を動かす。が、かなでの微かな動きでは
大地を膝の上から退かすのは難しい。
これ以上動いても無理だと思ったかなでは、小さく溜め息を吐くと抵抗を止める。
「ひなちゃんの膝の上は、本当に気持ち良いな。」
大地はそう呟くと、かなでの膝に頬擦りをした。
「大地先輩、くすぐったいです」かなではそう呟くと、そっと大地の髪に手を伸ばす。
少し癖のあるシナモンブラウンの髪は触り心地が良くて、かなではゆっくりと大地の髪を梳く。
「っ!」その瞬間、大地はびくりと体を揺らした。
 大地は自分に髪を触られたのが嫌だったのか、とかなでは慌てて触れていた手を引っ込める。
が、それは大地によって阻止された。
かなでの手を握った大地は、彼女の手の甲にキスを落とす。
「大地先輩っ!」
おろおろと慌てるかなでを見ながら、大地は彼女の体をゆっくりとソファーの上に押し倒す。 
「大地せんぱい!」『離して下さい』と彼の下でもがくかなでだか、大地はびくともしない。
「駄目、俺を煽った悪い子には、お仕置きが必要だから、ね。」 大地はかなでの耳に唇を寄せて、一際甘い声で囁く。 「心配しなくても、ちゃんと可愛がってあげる。」そう言ってかなでとの距離を詰める大地。 「先輩のばか」 「そうだね。俺はひなちゃん馬鹿だから。」と満面の笑みを称えて居る大地。 やっぱり大地先輩には適わない、とかなでは小さな溜め息を吐いて瞳を閉じた。